ファッションスタイリスト 押木香代子インタビュー 『「服のチカラと自分のスタイル」。二つのバランスで”らしく”そして”新しい”ファッションに出会えるんです。』

2020.10.20up
年齢性別にとらわれず多くの層から圧倒的な支持をされているファッションスタイリスト押木香代子さん。Maran.Donのフォトセッションの際にも、クライアントの魅力を引き出すファッションサポートには欠かせない存在。初めて出会った瞬間から、寛容であたたかでしなやかな雰囲気は誰もが、思わず「すべてお任せします」と身を委ねてしまいたくなる、そんな雰囲気の持ち主。彼女がどんなスタイリングをどんな思いで提供しているのか、これまでと今の香代子さんに焦点をあてて聞いてみました。

これまでのざっくりした香代子さんのバックグラウンドを教えていただけますか?

洋裁が得意だった母の影響が大きく、「本物」を見ておきなさい!と子供の頃から一流のものを見によくお店に連れて行かれました。学生時代は3年間近所のお宅で裁縫を学び、自分の洋服などを作っていました。(通っているうちに知ったのですが、先生は高田賢三さんのお姉さまでパタンナーとしてもご活躍された方だったんです!)振り返ればその時の経験が私の洋裁の原点となっていると思います。その後、パリで1年間、オートクチュールを学びに留学しました。フランス人特有のファッションセンス、ショップのウィンドウディスプレイなど、目にするもの全てが刺激的でした。パリでの生活が私の美意識の糧になっていると感じています。帰国後は、パリ留学の際に魅せられたイタリアのブランド東京支店に直接連絡をとり、採用され就職しました。ビジュアルマーチャンダイザー(MD、コーディネート、店内・ウィンドウディスプレイ、イベントスペースでのディスプレイ提案などブランドイメージを訴求する役目)としてキャリアをスタートしました。ここから見せ方(合わせ方)ひとつでそのモノの価値感を変える事が出来ることを学び、組み合わせの面白さの虜になっていったんです。現在は、今までの経験を活かし、売る為のコーディネートから個人向けにその人に合ったコーディネートを提案するファッションスタイリングのサービスを行っています。独立を決意した時に、フォトグラファーの雨森さんと出会い、意気投合して、よりお客様が魅力的に輝かれるためのファッションスタイリングサポートとしてのポジションで、フォトセッション&ファッションスタイリングサービスを協働しています。

ご自身の強みや魅力をぜひ教えてください。

オートクチュールを学んでいたおかげで、個々の体型にあった洋服を見極められるのが強みです。その人らしさを活かし、トレンドを加味しつつも上質で上品な装いを得意としています。また、幼少期にみてきた一流品、旅行先、留学先など多くのものをみてきた自分の審美眼には自信があります。
ショッピング同行は下見が最も大切だと考えており、リアルな情報を得る為に机上(ネットなど)の情報だけでなく、実際にお店を見て回って体感することを大切にしています。私はとっても粘り強いのでお客様にぴったりなファッションを探し続けることには妥協しないところも付加価値だと感じています。

そんなご自身の強みや魅力が実際のご提供されているサービスにどう活かされていますか?その特性などお聞かせください。

お客様それぞれの多様な魅力に気づいていただくためには、新しく加わる洋服がそれを促してくれる役割はとても大きいんです。なので、一歩踏み込んだ洋服選びをご提案しています。単にトレンドの物を着ていただくのではなく、お客様の体型、嗜好、ライフスタイル、目的など様々な観点からスタイリングをご提案させていただいています。そして、お客様ご自身が“馴染む”と感じらることがとても大切なので、お客様目線に立っての丁寧なコンサルティング も心がけています。

香代子さんはファッションに限らず空間レイアウトなどにもセンスが研ぎ澄まされている印象ですが、そのセンスいつからどんなふうに育まれてきたのですか?。

パリ留学でウィンドウディスプレイやセンスの良いお店を見て歩いていた事、VMD(ビジュアルマーチャンダイザー)時代にウィンドウディスプレイを手がけていた事が大きく影響を受けていると思います。また、インテリアショップのデコレーターとして働いていたこともあり、常に組み合わせ方、見せ方のアイデアを考えていました。洋服以外にもインテリアショップ、ホテルの内装などを見るのが大好きです。

周囲には香代子さんはどんな人って言われることが多いですか?

小さいころから言われているのは、マイペースでお節介、好奇心旺盛で出歩くのが大好き。スポーツなど体を動かすのも大好きなのですが、そのように見えないのか(笑)、見かけによらずアクティブだねと言われます。

オフの時の香代子さんはどんなふうに過ごしてますか?

今はまだ小学生の子供が二人いる為、子供と遊んだり、習い事につき合ったりしていますが、主人にも協力してもらって一人の時間を少しだけ設け、本屋さんやカフェに行ったり、お友達と美味しいもの食べたり、ぶらっとショッピングに行ったりして心の栄養をとっています

香代子さんにとって仕事とは!

自分と社会を繋げてくれるもの。そして自分を向上させてくれるものであり、センスを発揮できる場。今はこの仕事を通して、とても魅力的な方と出会うことが出来て、その方の素晴らしい生き様に触れる事で勇気を貰っています。

今一番夢中になってることはなんでしょう

オートクチュールビーズです。一針一針ビーズを刺して形にしていく過程がとても好きです。無になれる幸せな時間です。

フォトセッションの感想を教えてください。

最初はカメラを向けられるとどうしても固まってしまったのですが、フォトグラファーの雨森さんがその緊張をどんどん外していってくれるので、最後の方はリラックスして撮ってもらう事が出来ました。そして、出来上がりの写真のお洒落な事! 友人のプロフィール写真をみてこんな風に撮って欲しいと思い、雨森さんに依頼したのがきっかけでしたが、どの写真も構図がすばらしくて大満足でした。

最後に香代子さんの将来の展望を語って下さい。

今までもやりたいと思った事を一生懸命にやってきた事が繋がり今の自分がいるので、特にこれといった具体的なものは思いつかないのですが、これからも洋服以外にもスタイリングをしたり、自分のセンスを何らかの形にし続けて、最終的にはそれら全てが繋がり自分にしか出来ない仕事になって、その事が誰かの役に立っていたらいいなと思っています。子育てが落ち着いたら、海外で自分の好きなものを買い付けたり、自分の作品も含めて好きなものに囲まれたお店でコーヒーを飲みながら針仕事したり、ワ∸クショップを開いたりする場を設けたいなーと妄想を膨らませています。世の中にはまだ自分が目にしていない素晴らしいものが溢れていると思うので、年を重ねてもアンテナを張りながら、惹かれるものには貪欲に、この目で見て感じて進んでいきたいです。まだ訪問したことのない北欧には、生きているうちに絶対に行きたいです。

こちらのインタビュー企画では、香代子さんがファッションスタイリングされた事例も盛り込んだ素敵なお客様の記事が登場する予定です。
今後は、来年のART展なども共催予定。ビジュアルアートのコラボレーションでもぜひご期待下さい。

押木香代子
Kayoko Oshiki
ファッションの本場パリにてオートクチュールを学び、帰国後、イタリアブランドにてVMD(ビジュアルマーチャンダイザー)として従事。多数のスタイリング、ウィンドウディスプレイ、店内レイアウトなどブランドコンセプトを表現する役割を担う。 長年の経験で培った素材(=人、モノ)を魅せるスタイリングテクニックを活かしたサービスを提供している。 https://www.instagram.com/stylist_kayoko/
Photos / Makeup / Edit Design & Text : 雨森希紀 (Maki Amemori)
Fashion Styling : 押木香代子(Kayoko Oshiki)